2020年9月3日の日記 百合ナビ第4回百合漫画総選挙21~30位チェック
本棚を見ると百合姫は2014年の7月号で止まっている。そこからさかのぼること数年前までの大学生時代はつぼみやひらり、も買い揃えていたし、百合姫は毎号アンケートを書いて送るほど熱心な百合好きだったんだが、気付けば漫画を読まなくなって久しい。
熱が冷めたつもりはないのだが社会人になって徐々に時間が取れなくなり(つぼみやひらり、が休刊し百合姫一本になったのに)積読状態になるにいたって雑誌を買うのは止めたのだった。それ以降は既にファンになっている作家の新刊やたまたま気になった作家の単行本はとりあえず買うには買うが積読という日々だった。
最近になってようやく生活改善、生きがいの創出に目を向ける余裕(?)が出て(実際はそんな前向きな感情ではなく、昔ほど仕事に打ち込めなくなった後ろめたさを紛らわす状態な気もする)、止まっていた百合探求を再開した次第。
調べだして実感したのは、普段SNSを全く見ない情弱で、Amazonのレコメンドや同人ショップのお気に入り登録などで過去ベースの受動的な情報を得るばかりだったため、最近の作家には全く疎くなってるなということだ。近年の動きとしてガレットのコンセプトに惹かれてプレミアムコースに入ったのだが、結局それも積読しちゃっていて役に立っていない。
補足
百合姫から離れたのは生活環境の変化も大きいのだが、別の理由として新人発掘の方針に疑念を覚えていたというのもある。当時紙面で感じた問題は新人賞応募作に対する講評で、確か女の子が可愛いというのを第一条件に挙げていた所だ。個人的に百合と言えば心理描写が最大の見所で画なんて二の次くらいに考えていたし、実際に当時の掲載作家も当然可愛くないわけではないのだが、可愛さを第一にしていたというのは違うだろうという印象だったのだが。講評から透けて見えたのはとにかく一般受けだったりアニメ化しやすい作品を求める姿勢で、良質な百合ならとにかく歓迎するような懐の深さが感じられなかったのが残念だったのだ。商業なのだから売れなければ仕方がないとは思うし、他誌が休刊するなか百合姫が現在も存続している状況からすれば正しい判断だったと言えなくもないのだが、一読者からすればつまらない作品が増えるようにも思う。なんて偉そうなことを言ってるが客観的には最近の動向が追えていない奴による言い掛かりでしかない。まずは空白期間のキャッチアップをしなければ。
そんなこんなで新しい作品をキャッチアップしようと思ったが、どう情報集めればいいんだろうと悩んでいたところで見つけたのが百合ナビだ。(寧ろ百合好きを自称しながら今まで知らなかったんかい!と突っ込まれそうだが、情弱なんだから仕方がない)
それがここ一週間くらいの話で、新着で気になったタイトルをチェックしていたところ、本題の第4回百合漫画総選挙なるものが発表されていたので良い機会なのでコメントする。
30位 徒然日和
全く知らなかったのだが、日常系だそうで興味がわかないのでスルー。
29位 割り切った関係ですから。
これも存じ上げず。どんなもんかと検索して試し読みしたが、うーん。肉体関係を否定する気はないんだが、ビジュアルよりも心理描写に力を入れてくれ。教師側誰でも良いのか?思考が全く理解できない。作者の性別は知らんのだが男性的な感性のようで好きになれないわ。
28位 ハロー、メランコリック!
申し訳ない!大沢やよいさんはデビュー作から読んでて間違いないと分かってます。でも最近のチェックできてないんだよな。とりあえず買おう。
27位 できそこないの姫君たち
作者は聞いたことあるようなないようなくらいで試し読み。もったいないな。1話からあまりにもベタな展開ばかりで安っぽい。
26位 たとえとどかぬ糸だとしても
百合姫買うの止めた後に出てきた作家ということは知っていたが作品チェックしたことはなかった。これを機に試し読みしたが、これ1話から詰んでない?結構な話数あるみたいでどう繋いでいるのか分からないが、タイトル通り針に糸を通すような展開で引っ張っているのか?ただ個人的には1話で刺さらなかったのでごめんなさいかな。
25位 定時にあがれたら
ちょうど1週間前くらい前に百合勘を取り戻すためにインストールしたアプリのpixivコミックで見かけたやつ。特に悪いところはないんだが特別良いところもないという微妙な印象。
24位 Still Sick
上に同じくpixivコミックで見た。というか色々検索した結果このタイトルにたどり着いて気になってpixivコミック入れたんだった。同僚に同人活動がばれるっていう設定の時点で面白そうだし、試し読みした感じも良いので単行本買おうかな。
23位 あの娘にキスと白百合を
名前は良く聞くが未チェック。完全な読まず嫌いだがあらすじ読んでも何となく好きになれそうにない。ただ作者名に何か覚えがあるなと思って調べたら百合姫コミックスのサイダーと泣き虫。買ってるわ。5年以上積むというひどい仕打ちだが。結局、未だに合うか合わないか分からないがチェックくらいはするか。
22位 欠けた月とドーナッツ
これは全く知らんかった。試し読みしたが主役の優柔不断な感じがあまり好きではない。
21位 加瀬さんシリーズ
あー、たぶん買って読んだことがある気がするがあまり覚えていない。良かった気はするのだが最初の1巻か2巻で止まってるかも。
総括
これだという発見もなく、割と辛辣なコメントばかり書いてしまった。もともと好き嫌いは激しい方だし、古い記憶も絡むのであくまで個人の感想として軽く流して欲しい。
あとここでケチをつけるのも何だが、そもそも個人的なアタリが見つかるような企画じゃなさそうだ。企画意図を引用すると
そんな百合漫画が雑誌やWEBといった様々な媒体で登場するようになったこの時代において、今百合界隈で最も勢いのある作品何なのか、かつて人気を博していたあの名作を今なお愛している人はどれだけいるのか。ふとそんな疑問を感じたとき、それらを知る為に百合漫画総選挙は2017年より百合ナビの企画としてスタートしました。
だそうだが、過去回を見ても実質はここ数年の定番に一般受けしやすい新作がどこまで食い込むかの世界で面白みがない。
新作なら百合漫画大賞の方でかなりフォローできそうだし、そちらで探せばよいだろう。
それよりも過去の名作が埋もれて蔑ろにされている気がするな。30位以下にこそ隠れた名作がありそうだが、運営者の独断と偏見でもいいのでピックアップするなり、1巻の発行年代別で募集するなど工夫しないと、認知されないのではないか。
最近本棚から当時好きだった作品を引っ張り出して読んだのだが、色褪せるどころか当時以上に刺さったりして改めて感動することがあった。ただ過去の総選挙で探してみれば少数票で全く納得行かない。幾つか紹介しておく。(候補はまだまだあるが、既にある程度評価されている天野しゅにんたさんやあらた伊里さんは除き、とりあえずタイプの異なる3つを挙げる)
(社会人百合枠)エビスさんとホテイさん - きづきあきら+サトウナンキ
発表当時(10年前)はまだ大学院生で社会を知らなかったが、最近読み直してより好きになった。定時で帰りにくい空気や事務作業の効率化など社会人一般のリアルな問題も盛り込まれているのが地味に効いている(まだ特別古い感覚はないが働き方改革が進めば古く感じるかもしれないので今すぐ読むべし)。そんなリアルな背景の中、感情の揺れ動きから今後の生き方の選択までこれぞという百合展開が語られるんだからたまらない。社会人百合のお手本のような作品なのだが、近年の社会人百合に投票している人たちは履修済みなのだろうか?過去の総選挙では5票前後だが全く見合っていない。社会人百合部門があれば大賞捕れるレベル。
(学園百合枠)月と世界とエトワール - 高上優里子
王道の学園百合という問に真っ先に推したいのはこの作品。まあ王道と言われて思い浮かぶイメージは人それぞれだろうが、マリみてから入った人間としては少女小説でありそうな世界観を王道と感じちゃうわけだ。そこでこの作品、音楽学校舞台で声楽科の歌姫<エトワール>と作曲科の騎士<シュヴァリエ>が指輪を交換<エンゲージ>するんだよ?はい王道。また単に甘いだけじゃないところも良いんだよ。百合姫連載当時は毎回個人的ベスト3に入れてた。過去の総選挙は1票、2票。王道の良さを知らないやつが多すぎるんじゃないか。
(ファンタジー百合枠)flower*flower - 石見翔子
自分の本棚から見つけたは良いがどんな話か全く覚えていなかった。異国情緒溢れる世界で性別詐称の王子。今読んでも新鮮でめっちゃ好きってなった。確かリアルタイムではなく少し後に単行本で知ったように記憶しているが、何でこんなに面白いのに打ち切り同然になったんだ?過去の総選挙は1票、2票。何かでバズって復活してくれ。
これだけだと単に懐古趣味語っただけみたいになっちゃうし、総選挙とは別(単行本は未刊行)に最近チェックした中のイチオシも挙げる。
夢の端々 - 須藤佑実
おばあさんになっても○○というのは昔からある百合の一つのテーマだろう。タイトルや作者覚えてないが百合姫でも短編集の中で実際にハッピーエンド寄りのおばあさんの漫画を見たような記憶がある。それに比べてこれはすごい。まず1話で示されるのが認知症に交通事故と全くハッピーじゃないし、ラストに出てくるあれなんてサスペンスやんけ。pixivコミックでほんとに最近見つけたばっかりで2、3話は見逃しているのだが、その後の話数の過去エピソードを見ちゃうとね。百合タグも付いてないし、甘くはないが紛れもなく読み応えのある百合作品だろう。